2014/09/26

タブレットを使わせることに、抵抗感がありました。

--ご家庭では、どのようなスマートデバイスを所有されていますか? 普段使用しているスマートフォン1台と、家にiPadが1台あります。 --お母様はスマホやタブレットをどのようなことに使っていますか? スマホでは電話をしたり、仕事の資料を見たり、情報検索したりするために使っています。スマホは仕事で使っているので、子ども用のアプリは入れておらず、息子には使わせていません。タブレットは、ほぼ息子専用です。私が使うのは、たまにクックパッドを見たりする時くらいですね。 --お子様とタブレットを使って遊んでいるということですが、どんなアプリを使っていますか? 子どもにタブレットを渡す時に「これはお勉強するためのものだよ」という伝え方をしてきたこともあり、使用しているのは学習系アプリが中心です。ひらがなや時計の読み方、図形や数などの学習系アプリが入っています。驚くことに、ひらがなも時計もあっという間に覚えてしまいました。お料理のアプリでも遊ぶことも多いですね。お料理を材料から考えどんな順番で料理していくか、これってけっこう頭を使うんですよね。実際に1人で調理するのはまだ難しいので、アプリで疑似体験できるといいな、と思っています。ただ楽しいだけというよりは、何かしら学習効果がありそうなものを選んでいます。 --お子様のお気に入りのアプリは何かありますか? 最近はスマートエデュケーションの「みんなで つなげっと」が大好きでよく遊んでいます。登場人物の会話がまだ理解できないこともあるので、教えたりしながら二人モードで楽しんでいます。毎回人物の位置が変わりますが、確実に息子のほうが見つけるのは早くなってきましたね(笑) 息子は2歳からiPadを使っているのですが、年齢によって好きなアプリも変化しています。2歳頃は音や絵を見てシンプルに楽しめるアプリやお絵かきアプリでよく遊んでいましたが、成長するに従って、パズルや数遊びなどより複雑なものを好むようになりました。年齢や発達段階によって使用するアプリも見直していかなくてはいけないな、と感じます。子どもにとって、もっと良い使い方はないかと日々考えているところです。 --2歳のときにお子様にiPadを使わせてみようと思われたきっかけは何だったのでしょうか? 実は小さい子どもにタブレットを使わせることについては、もともと少し抵抗感があったんです。そんなに小さい時から使わなくても、と思っていたのですが、以前、経済番組で一緒にMCをしていた方に「子どもの時にしか持っていない鋭い感性を、iPadのように今までになかったツールを使って刺激したら、もっと違うものが育つのではないか」と言われまして、とても納得したのと、スタッフさんに実際iPadアプリなどを触らせてもらったりしたときにタブレットに大きな可能性を感じました。本物を手にとって遊ぶことや絵本を読み聞かせして感想を親子で話し合うというのも、非常に大切なことだと思いますが、これからの未来を生きる子ども達ならではの学びや経験があってもいいのではないかと思い、息子に使わせてみようと思いました。 --なるほど。ではお子様のためにiPadを購入されたわけですね。実際にお子様に使わせてみて、どのように感じましたか? 私よりも覚えがずっと速く、色々なことをどんどん吸収していくので驚きの連続でした。2歳くらいって子育てが一番大変な年齢で、どうやって遊んであげたらいいんだろうって困ってしまうことも多いと思うんです。「テレビやDVDに頼ってしまう」という声をよく聞きますが、そんな時に親子で一緒にiPadを使えば、楽しく色々なことを学ぶことができますし、親子の触れ合いも増えるので、私自身は使ってみて本当に良かったなと思っています。周りの子育て中のママ達にも「iPadいいよ」とよくお勧めするんですが、大体みんなiPad買いますね(笑)。お互い「こんなアプリが良かったよ」というような情報交換もよくします。「幼児には早過ぎる」と思われる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、適切な時間、親子一緒に使うということを心がければ、決して避けるべきものではないと思います。

子どもに使わせるアプリは、まず自分が使って動作や仕掛けを確認するようにしています

--お子様は一日にどのくらいの時間、タブレットで遊んでいますか? 毎日ではなく、空いた時間に気が向いたらタブレットで遊ぶという感じです。時間は30分くらいでしょうか。1人で遊ぶのではなく、私やおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に遊ぶことが多いです。おじいちゃんやおばあちゃんは使い方が全然わからないので、息子がよく教えてあげています。良いコミュニケーションツールになっているのではないでしょうか(笑)。 --お子様にタブレットを使わせる上で、決めているルールは何かありますか? 必ず私の目の届くところで使ってもらっています。あと、これはルールというよりは習慣になっているのですが、息子はiPadを使いたい時、まず私に「使ってもいい?」と声をかけてくれるので、「じゃあ30分ね」と時間の約束をするようにしています。時計も読めるようになっているので、遊びながら時々自分で時間を確認して、制限時間が来たらちゃんと終わりにしています。最初に約束をしているので、「もっとやりたい!」と怒るようなこともないですね。 --これまで、お子様達のスマホ・タブレット使用に関して「失敗した!」と思われたような経験はありますか? 特に思い当たることはありませんが、アプリに表示される広告を誤って押して、違うサイトにいってしまうことがたまにあります。また最近は追加課金の時に、親だけが課金のページに進めるように計算式を入れているものもありますが、簡単な計算だと自分で解いてしまったり・・・。勝手にお金を使ってしまうということはないのですが、良いアプリだと思っても、子どもが楽しく遊んでいるところに広告や課金のページが表示されてしまうとちょっと残念ですね。 --お子様が遊ぶアプリは誰が選んでいますか?また選ぶ基準は何かありますか? アプリは全て私が選んでいます。良さそうなものについては、まず無料体験で私自身がひと通りの動作や仕掛けを確認してから子どもに渡すようにしています。対象年齢が少し上のアプリの方が、刺激があっていいかなと思っています。 --しっかりとしたポリシーをもって使わせていらっしゃるのは素晴らしいですね。常に「こういう体験をさせたい」という目的をもってアプリを選ばれているということですよね。 そうですね。「数」や「パズル」というような言葉でストアを検索し、その中からユーザーレビューを読んで良さそうなものを選んでいます。まずは自分で実際に触ってみて、子どもの年齢や成長に合っているかどうかを確かめて、良いと思えば子どもに使わせるという感じです。ただ、レビューやランキングの陰に隠れた良いアプリというものも結構あるんですよね。友人に聞いて初めて「え!こんなアプリがあったんだ!」と知ることも多々あります。もう少しアプリストアが検索しやすくなったり、子ども向けアプリの情報がもっとわかりやすく簡単に手に入るようになったりするといいですね。

大切なのは「使わないこと」ではなく、「適切な距離感をもって使用できるようになること」

--小さい子どもがスマホやタブレットを使用することについては、どのようにお考えですか? 先日文部科学省が行った小学6年生と中学3年生の全国学力テストと児童生徒アンケートで、「スマホや携帯の使用時間が長いほど、成績が低い傾向が出た」というような結果が発表されましたが、「だからスマホや携帯はダメなんだ」と短絡的に捉えてしまうのは、とてももったいないことだと思います。SNSをめぐるトラブルなどもよく報道されていますが、大切なのは「使わないこと」ではなく、「適切な距離感をもって使用できるようになること」だと思うんですよね。そのためにも、小さい頃から使い方やルールについてしっかりと教育を受けておくことが大切なのではないかと感じています。また、子どもだけではなく親もしっかりと勉強しなくてはいけないですよね。親にちゃんとした知識と経験があれば、スマホやタブレットを必要以上に避けたり、恐れたりすることもなくなりますし、子どもがトラブルにあったときにも慌てず、落ち着いて対応することができます。

正しい使い方をすれば、こんなに便利で世界が広がるツールは他にないと思います。誤った先入観で子どもの学ぶチャンスを奪って欲しくないので、スマートエデュケーションをはじめとする知育系アプリの企業には、是非親向けの啓発活動も積極的に行って頂けたら嬉しいです。
--本当にその通りですね。では改めて、スマホやタブレットにどのような魅力や可能性を感じていますか? 直感的に楽しめるというのが最大の魅力だと思います。息子はよく英語表示の算数アプリで遊んでいるのですが、音や動きのあるアプリだからこそ、感覚的になんでも楽しく遊ぶことができるのかなと感じます。同じことを紙の本でやったら、きっと難しく感じてしまうのではないでしょうか。

小さな子どもは勉強も遊びも区別がなくて、体験が全て学びにつながりますよね。スマホやタブレットは好奇心を刺激したり、新しいことに興味を広げたりする上で、とても役立つと思うので、デジタルとリアルを上手く組み合わせていけば、学びは更に豊かなものになるのではないかと思います。
私が小さい時にもこんなものがあったらよかったなと、つくづく羨ましくなります(笑)。
--今後スマホやタブレットでお子様と一緒にこんなことをしてみたい、こんなアプリで遊んでみたい、と思うことは何かありますか? これから小学生になっていくと、どんなことに興味をもってどんな使い方をしていくんでしょうね。でも家庭では今までと同じように、家族一緒に楽しめたらいいな、と思います。パズルゲームなどで本気で対戦できるようになったら面白いですね。今から楽しみです。 --最後に、荻野さんが子育てをする上で大切にされていることについて教えてください。 今は私達が子どもの時とは比較できないほど何でもある時代です。以前、子どもがピンク色のダイアル式公衆電話を見て「これ何?」って聞いてきたんですよね(笑)。「あ、ダイアル見たことないのか・・・」とものすごい世代間ギャップを感じました。昨日できなかったことが今日実現されている、本当に変化のスピードが速い時代なので、親も必死になってついていかないといけないなと思っています。ある程度の年齢になるまでは、子どもが成長する環境を整えるのは親の役割だと思うので、親自身が時代遅れにならないように、その時に自分ができる最良のものを与えてあげたいですね。

また、子どもがこれから小学生、中学生になって一番悩むのがコミュニケーションや人間関係だと思いますが、ちょっとくらいのトラブルではへこたれないような強い男の子に育ってほしいです。息子たちの世代は、将来確実に世界と競争していかなくてはいけないので、精神的に強くあることはとても大切です。ただその一方で、どんなことがあっても、家のなかでは安心して過ごせる、そんな気持ちを持ってもらえるような家庭を作っていきたいと思います。
荻野奈緒美さん 1976年生まれ。WOWOW契約アナウンサー、NHK・BS1情報番組キャスターなどを経て、CSで経済番組を担当したのをきっかけにAFPを取得。現在、ファイナンシャルプランナーとしても、雑誌、セミナーなどで活躍している。男の子(6歳/年長)のママ。
公式サイト:
http://www.limelight-net.com/talent/OginoNaomi.html
編集後記
息子さんに使わせるアプリは全て自分で触ってチェックするという荻野さんのポリシーは、本当に素晴らしいと思いました。なかなかできることではありませんよね。 そして、親自身がもっとスマートデバイスについて考え、適切な使い方を学んでいかなくてはいけないというお話にも大変強く共感しました。
スマホやタブレットに関わる話だけではなく、男の子の子育てやグローバル感覚を育てるためにはどうしたらよいか、など色々な話題で盛り上がった楽しい時間でした!
取材&文:大澤 香織 フリーランスライター。7歳男子+4歳男子の母。これまで塾や幼児教室の講師を経験するなど、「教育」に強い興味あり。絵本大好き&子どもと歌を歌うのが大好きで、家族そろってスマートエデュケーションの知育アプリのファン。

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